経営課題解決のキッカケ作りをお手伝いする経営セミナーの総合的コンテンツ提供サービスとして
鈴木丈規税理士事務所プロデュース「草薙 黒字大学」を開講いたしました。
経営者の皆さんにとって、会計事務所とはどのような存在でしょうか。
大企業ならいざしらず、中小やベンチャー企業の経営者から見ると、会計事務所とは「会計事務や決算のために仕方なくつきあっているところ」というような印象をもたれているかも知れません。
あるいは「節税対策をして欲しい」という限定した役割を期待される方もおられるでしょう。
事実多くの会計事務所では記帳代行とその周辺サービスだけを低料金で手がけているところが多いのも事実かもしれません。
さらに、最近はテレビでさかんに会計関連のパソコンソフトのCMが行われているため、コンピューターに明るい経営者の中には「会計事務所なんて必要ない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
もちろん、会計事務所の役割が記帳代行だけであると考えているならばその通りかもしれません。
本来、会計事務所の一番重要な役割とは、会計データから正確な業績を経営者に知らせ、最適なアドバイスをし、戦略意思決定のお手伝いをすることだと、私たちはとらえております。
経営者の皆さんにはもっと「会計って重要なんだな」、「会計事務所の仕事は経営の役に立つのだな」という意識を持っていただきたいのです。
私たちはさまざまな会社の会計資料を拝見していますが、時折「バランスシートの悲鳴」が聞こえることがあります。
これは人体で言うなら「未病」すなわち、「まだ自覚症状もなく発病はしていないけれど、すでにこれは医学的には病気ですよ、このまま放置するととんでもないことになりますよ」という警告なのです。
会計事務所は、企業にとっての「かかりつけ医」であるべきなのです。
かかりつけ医の大きな仕事は「予防医学」です。
つまり病気になってから治療するのではなく、いかに病気になる前にその原因を取り除くか、仮に病気になったとしてもいかに最小限に被害をとどめるか、という点にあります。
たとえば、ある企業が赤字に陥ったとします。こういうとき経営者なら「赤字になれば会社の信用力が低下し、金融機関からお金を借りれなくなる」などと粉飾決算に走りたい衝動にかられた経験はないでしょうか。
いったん粉飾決算の道に踏み込むと後は進むも地獄、戻るも地獄の悪循環に踏み込むことになります。
もちろん「そんなことはわかっている」とおっしゃる経営者は多いでしょう。
では何故、世の中に知られた大企業を含め粉飾決算に走る企業が後を絶たないのでしょうか?
それは、経営者が優秀なかかりつけ医を持っていなかったからなのです。
虫歯の治療ひとつ取ってもわかりますが、人間は自分に痛みの伴うことは頭でいくら「必要だ」と思っていてもなかなか踏み切れません。
ごまかすだけごまかし、どうにもならなくなってから医者に駆け込みます。
初期治療であれば簡単に治ったのに、放っておいたために歯を抜くしかなくなったという話は世間にゴマンとあります。
企業もそれと同じで、赤字に陥った期はそれならそれと正直に公表し、原因をきちんと究明して明確な対応策を講じれば、また翌年から黒字に持ち直すことも出来ます。
その痛みに耐えられなかったか、あるいは赤字に陥った原因を究明せず、「たいしたことはない、そのうち治る」と放置してしまうと放漫経営に陥ります。
問題の先送りは企業の健康を大きく損ねます。
そうなる前に、時にはあえて経営者ににじりよって厳しい嫌なことも言ってくれるかかりつけ医の存在が不可欠なのです。
「いまの状態はこうなっています。痛みは伴いますが、このような治療が必要です」と率直に経営者に進言する。
それが出来る会計事務所でなくては、企業のかかりつけ医は務まりません。
さらに言えば、虫歯になる前に歯の磨き方や食事の指導をしてくれる医師こそが本当の名医ということになります。
当社には130を超えるクライアントがいらっしゃいますが、そのほとんどの会社に当社のスタッフが毎月直接お伺いしています。また、ほとんどのクライアントの事務所にTKC、FX2システムという業績管理ツールが入っています。
当社は、前月の会計処理の報告を翌月の初旬か遅くとも中旬には致しますが、報告するだけでなく、担当者が経営者と反省点や今後の方向性について話し合います。
当社の報告が非常に早いのは、経営者が前月の業績について早く判断できるようにするためです。
これがすなわち、かかりつけ医による定期健康診断、あるいは往診に相当します。
時にはきつい嫌なことでも言わなくてはならない。
そして、それを経営者に承知していただかなくてはいけない。
それには日頃からのコミュニケーションによる信頼関係の構築が不可欠だと私たちは考えています。
そのため、お忙しい経営者の方であっても、年に必ず3度以上は直接経営者とお会いしてお話をさせていただいています。
それらの経験が、少しでも多くの企業様の健康状態を良くするためのお役に立てればいいなという思いで、黒字大学設立に至りました。
かかりつけ医として関わることは出来ない企業様でも、経営者や幹部の方に、治療方法を知っていただき、自ら考え行動して健康な体質に改善していただくために、黒字大学をご活用頂ければ幸いです。
私たちは、決して「計数管理に向いている人が経営者として適任である」などと言うつもりはありません。
経営センスの優劣と計数管理の優劣はまた別モノだからです。
しかし、経営者が計数管理を苦手としている場合は、計数管理に強い「経営助言者」が必要です。
その「経営助言者」、すなわち経営者のサポーター役を務めるのが私たちです。
黒字大学の役割は、私たちが長年かけて蓄積したノウハウの体系化により、企業を永続発展する体制に導くお手伝いをすることなのです。
しかし、ひとつだけ経営者の皆様に理解しておいていただきたいことがあります。
それは、「大学とは自ら学ぶ場所だ」ということを忘れないでいただきたいのです。
「一から十まで私たちの指示通りに動けば会社が黒字になりますよ」などということではありません。
また、それを望む経営者もいらっしゃらないでしょう。
どんなスポーツでも、優秀な選手になればなるほど、必ず専属のコーチやトレーナーと契約しています。
それは今さら技術を指導してもらうためではありません。
黒字大学は、第三者の専門家の力を借りることにより、さらに自分自身の経営力を高めるためのものです。
私たちは「企業が黒字体質になり、永続発展していく体制づくりお手伝い」を致します。
まず経営者の方には「なぜそれを導入する必要があるのか、それが本当に自社の経営に役立つのか」を納得するまで学んでいただく必要があります。
そして、それが納得できたなら、私たちと二人三脚で「黒字大学のスキームを実践する」というカリキュラムを経て、企業の永続発展に向けた努力を継続していきましょう。
私たちを「企業のかかりつけ医」として、企業が「黒字」という健康状態を維持しながら、健やかに成長発展してゆくのを見守り助言をするパートナーとして末永くご利用いただくことを願っています。