現在、日本国内の企業のうち黒字決算企業の割合はわずか30%程度に過ぎません。企業の7割近くが赤字というのが現実です。
もちろん節税などのために利益幅を圧縮したりしているケースもあるでしょう。しかし、金融機関に対する企業の与信を考えても、取引先や顧客に対する企業信頼性を考えても、年々企業を黒字化する必要性は高まるばかりです。にもかかわらず、これだけ多くの企業が黒字に転換できない理由は何でしょうか?
不況、競争の激化…いろいろな要素があるでしょう。
しかし、今までに数々の企業と接し、現在も130を越える顧客企業を抱える私の目から見ると、企業が黒字化できない最大の理由は、「経営計画と業績管理力の不足」にあるのではないでしょうか?
つまり、「具体的にいつどのような事を行って会社を黒字にするのかを計画する」、「毎月の業績を分析し、反省点に気づいたり今後の方向性を修正する」といったことが充分に行われておらず、感と度胸に頼った経営をされている方が多いのではないか、という印象を持っています。
経営者の皆さんが、売上を上げ、粗利益を確保し、経費を最少に抑え企業を健全な体質にしていくために、計画性と業績管理は避けて通れないものです。
もしも経営者にその方面のスキルが不足していれば、それを補う助言者が必要となります。
その助言者が我々、会計事務所です。
あなたは会計事務所というものをどのようにお考えでしょうか?
「月々の会計処理と決算処理の代行屋」、「節税対策のプロ」といったレベルの意識で会計事務所を見ているとしたら、
それは大いなる認識不足です。
会計事務所の本来の仕事は、「企業の健康を見守る、経営のかかりつけ医」であるべきなのです。
現代の医学の考え方では、「病気になったら病院にいく」のではなく、「日頃から健康に気をつけ、病気になりそうな要因や予兆があったらあらかじめそれを解消する『予防医学』へと主流が変わりつつあります。
これを企業にあてはめて考えると、赤字体質の企業はすでに生活習慣病の初期段階にあるようなものです。ダイエットや運動習慣・食事制限にあたる指導、つまり固定費の見直しや利益計画の策定、業績検討会の定期的な開催などが必要となるでしょう。
こうした「企業の予防医学」を日頃からキチンと実践していれば、病気の症状が発覚してから「なんとかしてください」と金融機関を駆けずり回る心配もなくなりますし、ましてや手遅れになることもありません。
企業の健康。それがすなわち黒字です。
そして今期だけでなく、来期も来々期も将来的な黒字体質を維持していくお手伝いをすること。それが私たちの役割なのです。
学長 鈴木丈規